第4章 ●気になる●
「ああ、七海?終わったよ。」
硝子が建人に電話をかけた。
すると、建人はすぐさま現れた。
「恋、大丈夫ですか?」
「うんっ!もう大丈夫よ。」
「それは良かった」
「七海は心配症だな」
私たちが話している所へ夏油がやって来た。
「夏油さんお疲れ様です。」
頭を下げる建人。
彼は夏油を慕っている。
「恋だって立派な術師なんだから。もう、君がいない間の七海の心配っぷりったらなかったよ。」
「ちょっと、待って下さいよ、夏油さん。」
建人が焦っている。
すると、遠くの方から声が聞こえてきた。
「おーい!恋。元気になったー?」
五条だ。
「五条、どこ行ってた?」
硝子が聞いた。
「あぁ、ちょっとトイレ。それより何々?何の話してたの?」
「七海が心配症だって話だよ。恋が怪我したって聞いてからいてもたってもいられない様子で、ウロウロしてたんだ。」
夏油が答えた。
「だから、やめて下さいよ。夏油さん。」
そこに灰原がやってきた。
「おーい!七海ー。あっ、恋さん。無事だったんですね。良かったなぁ七海。」
「まったく、間の悪い。」
建人がボソッと言った。
それを見てみんなで笑った。
楽しかった。
でも、その後大事な事を思い出した。
「あっ、そうだ。先生に報告しなくちゃ、五条行こっ。」
五条を見ると、何故か満面の笑み。
「おー、行こう行こう!」
「建人、後でね。」
建人に手を振り、五条と一緒に歩き出す。
「今日はありがと。五条がいなかったらヤバかったよ。」
お礼を伝えた。
「感謝してるんならさぁ、お菓子作ってよ。頭使ったから甘いもの食べたいな。」
「わかった。後で何か作るねっ。」
「ほんとに?やったぁ!」
子供のようにはしゃぐ彼。
「フフッ、子供みたい。可愛い。」
素直に出てきた言葉だった。
すると急に真顔になる彼。
「可愛いのはお前だろ。」
そう言って私の顔に自分の顔を近づけてくる。
ギュッと目をつぶる。
次の瞬間、彼の唇が私の頬に触れた。
チュッとリップ音がした。
思わず手で頬を包む。