第36章 ●護る●
そう言って硝子は部屋を出て行った。
「何だよ、あれ。恋、大丈夫か?」
目が真っ赤だ。
硝子の言う通り、相当泣いたようだな。
「さ……とる……」
僕を見てまた泣き出した恋。
恋に近付き抱きしめた。
「良かった、恋が僕のところに帰ってきてくれて。」
「さと……る……っ、ごめん……ね……」
「硝子から聞いた。お前は何も悪くない。愛してるよ。」
頭を撫でてやる。
「……ありがと……私も、愛してる……」
恋の手に飴が握られてるのが見えた。
「日下部に貰ったの?」
「うん。舐めてるとこ見せてって言われた。」
「アイツ……」
「思わず怒って……気づいたら泣き止んでた。日下部らしいよね。」
「何かムカつくけど。」
「これ、開けて。」
体を離すと飴を差し出された。
「はい、どうぞ。」
包を開けて口に入れてやる。
「おいひい。私の好きな味。」
「青リンゴ?」
「うん。」
飴舐めてる顔がちょっぴりエロい。
日下部が見たい気持ちがよくわかる。
だけど見せてやらない。
僕だけの恋だから。
その後、学長が来て今日は僕も恋も休んでいいと言われた。
それから恋を家まで送って行った。
「僕もしばらくここにいるから。」
「ありがと、私お風呂入ってくる。」
1人にしておけない。
出来るだけ誰かが側についているよう、学長命令も出た。
「後で行くよ。」
「うん。」
少ししてからバスルームへ行き、鼻歌混じりで服を脱ぐ。
意気揚々とドアを開け、中へ入る。
「恋!?」
恋がバスタブに沈んでいた。
慌ててお湯の中に手を入れ引き上げる。
「おい!何してんだ!?」
「潜ってた……」
「まあ、そうだろうけど、びっくりするじゃん。」