第36章 ●護る●
少しして部屋から硝子が出てきた。
「やあ!五条と愉快な仲間たち。」
「家入さん、冗談はやめて下さい。」
相変わらず眉間に皺を寄せてる七海が言った。
「悪いね。さあ、仲間たちはどうぞ。五条、あんたは待って。」
奴らを手招きする硝子。
「何だよ。」
「こっち来て。」
検査室へと通された。
「どうした?重要な問題か?」
「アザは綺麗に治ったよ。骨折はしてなかった。ただ、ほんの少しだけ膣壁に裂傷があった。」
「やっぱレイプされたって事か?」
「ある意味ね。」
「どういう意味?」
「脅されて同意せざるをえなかったって。七海と同じ。それプラス従わなければ五条とも二度会えなくなるって言われたって。」
「あのヤロー。」
拳を握りしめた。
「落ち着いて。」
「妊娠の可能性は?」
「対処した。」
「わかった。」
「泣いてたよ。あんまり怒らないでやって。」
「恋に怒る訳ないだろ。」
「そうじゃなくて夏油にだよ。」
「何で?」
硝子の言葉の真意がよくわからなかった。
「アンタが怒れば怒るほど恋は自分が酷い事されたんだって実感する。そしてますます自分を責めるから。」
「そうか……わかった。」
硝子の言ってる事はもっともだと思った。
恋の元へ急ぐ。
「恋。」
「悟……」
ドアを開けると、ベッドに座ってる恋とそれを取り囲む七海、日下部、猪野がいた。
「アンタ達は散りなさい。」
硝子が言うと、3人は名残惜しそうに恋から離れて部屋から出て行った。
「私は隣の部屋にいるから、何かあったら呼んで。」
「硝子、ありがと。」
「恋、私はアンタを愛してるって言ったでしょ?」
「うん。私もだよ。」
「お前ら何言ってんの?何か気味悪いんだけど。」
「私たちの間にクズの五条は入れないよ。じゃあね。」