第35章 ●嬲る(夢主の場合)●
寝室へ向かう途中拳を握りしめ、己に暗示をかける。
何をされたって、壊れない。
何が起こったって、立ち上がる。
何があったって、悟を愛し続ける。
「どうぞ。」
寝室へと入る。
「良い香り。」
「気に入ってもらえてよかった。アロマを炊いたんだ。」
私のために?
悟が好きな私のために……
「好きだよ、恋。」
ベッドのそばで向かい合う。
腰に手を回され、軽くキス。
触れるだけの優しいキス。
服を脱がされ、下着姿にされた。
「良い眺めだ。悟の趣味かい?」
あれ以来、毎日悟に言われてセクシー下着を身につけてる。
「アンタも?」
「ああ、いいね。悟とは趣味が合うんだ。」
そう言うと夏油は再びキスをした。
今度は深く。
「ンッ。」
熱い舌が滑り込み、口内を侵される。
腰に手が行き、下着の紐が片方だけ解かれた。
「いいね、そそるよ。」
髪を避けてうなじにキスをされる。
非術師を殺させたくない。
それにもし、本当に二度と悟に会えなくなるような事にでもなったら後悔する。
体が震える。
「悟としてるみたいに私ともしよう。」
早く帰りたい。
早く帰って悟に会いたい。
その一心でこの男に抱かれる。
「先に上がってて。」
ベッドへ上がるよう促される。
後で衣擦れの音がする。
夏油が袈裟を足下へ落とした。
「おりこうさん。」
私の上に覆い被さり、ブラを外して胸を愛撫する。
声を出さないよう我慢した。
「我慢しなくていいんだよ。」
「だっ……て。」
涙が溢れる。
「泣かないで。」
優しくされる方が辛い。
これじゃあ、まだ無理やりされた方がマシかも。
「私が好きなのは悟だけ。」
「わかってる。なるべく早く終わらせるからね。」
下着の横から指を入れる夏油。
「ンッ、アアッ。」
思わず声が出た。
「ちょっとキツイな。」
濡れてないからキツいんだよ………
「ンッ、アンッ!」
指を2本に増やされ、いいところを擦られる。
だんだん早くなる指。
「気持ちいいかい?」
心とは裏腹に感じる体。
「泣かないで。」
止まらない涙を夏油に拭われる。