第35章 ●嬲る(夢主の場合)●
「着きました。」
現地に着き、車を降りた。
「よっしゃ!やるぞ!」
外に出ると俄然張り切る猪野。
「高山、この洞窟?」
目の前には小さな入り口の洞窟。
「はい、情報では中は広いそうです。1番奥に1級呪霊がいるようです。」
「猪野、行くよ。」
「ラジャー!恋ちゃん!」
中に入ると不気味なほど静まり返っていた。
高山の言った通り1番奥に呪霊がいた。
この呪霊には見覚えがある。
アイツの……
夏油が使役してる呪霊だ。
「猪野、これは夏油が使役してる呪霊よ。」
「夏油?あの夏油傑?」
「そう。ちゃんと気を張ってなさい!」
猪野に注意して呪霊を倒す。
だけど、やはりこれは罠だった。
「恋ちゃん!ごめん!」
後ろから呪詛師2人を従えた高山がやって来て、猪野が呪詛師に捕まった。
「彼を殺されたくなければ一緒に来てください、恋さん。」
高山が言った。
「高山、まさか夏油と繋がってるの?建人は?」
「その話は後ほどゆっくりあのお方から。それより、猪野さんが死んでも良いんですか?」
「わかった。」
「猪野さん、五条さんに後で高専に連絡すると伝えて下さい。」
「猪野、悟に伝えて。私は壊れないから泣くなって。」
「わかったよ。恋ちゃん!ウッ……」
猪野は術師に腹を殴られて気絶した。
私はポニーテルの少年呪詛師に腕を掴まれ洞窟の外へと連れ出された。
「ねえねえ、おねえさん。僕といい事しようよお。」
私の腕を掴む少年呪詛師が耳元で熱い息を吹きかけた。
「ごめんねぼくぅ。おねえさんはねぇ、イケメンのおにーさんじゃなきゃもえないのぉ。」
「うわぁ、おねえさんエッチだね。」
「やめないか。」
洞窟の外から聞き覚えのある声がした。
「うわっ、ごめんなさあい。」
頭を抱えてその場から走り去る呪詛師。
「やあ、久しぶりだね。私の可愛い人。」
「夏油………」