第33章 ●観念する●
「わかってる。だけど、そのせいでお前と一緒にいられないのならこんな立場なんて捨ててやる。」
「私の為にそんな事絶対にして欲しくない。もし、そんな事したら……死ぬから、私。」
キッと悟を見上げる。
「真顔で死ぬとか言うなよ。悲しくなるだろ?」
悟の綺麗な瞳が潤んでる。
「じゃあ、他の男と結婚してやる。」
「それも絶対いやだ。僕、気が狂って何するかわかんないよ?」
悟の綺麗な瞳から涙が溢れた。
「泣かないで、悟。」
「七海のとこ行かれて、相当参ったんだよ。」
悟の涙が止まらない。
「悟なんて浮気したくせに。」
「もうしないから。」
「私の気持ちが少しはわかった?」
「うん、わかったよ。いじわるそうな顔も可愛いね、恋。」
キスしようとする悟。
「私のどこが可愛いの?」
わざと質問を投げた。
「お前、それも覚えてないの?」
訝しむ悟。
「何?」
「昨夜言っただろ?お前は若い時から何も変わらないって。年齢より若く見えるって。」
「そういえば言ってたような……あ、そうだ!昔、老け顔で今は歳が追い越したって言われたんだ。褒めてるのかけなしてるのかわかんないって思ったんだった。」
「褒めてんだよ。」
そしておでこにキスされた。
目、鼻、頬、耳へ。
「昨夜言ってた事は本心なの?しゅきって、愛ちてるって。」
耳元で喋られ、体温が一気に上がる。
もう、無理。
ちゃんと伝えなきゃ。
「悟……っ、が好き……っ、死ぬほど好き。悟に何されたって好きだった……だけど、別れなきゃいけないって言われてたから……っ、浮気し……たのを口実……っ、にした……ごめんね。」
涙が溢れる。
悟もまた泣いてる。
「ごめん、辛い思いばっかさせて。」
抱きしめられる。
キツく、キツく。