第33章 ●観念する●
コーヒーをカウンターに置き、後ろを振り返る。
目の前にはパンツ一枚の悟。
「僕の事、しゅきって言ってたよ。」
「う………そ。」
裸の悟を間近で見てドキドキしてる私。
「愛ちてるって言ってた。」
「………最悪。」
すると、悟の腕が再び私を捕らえた。
「そんなひどい事言う子にはお仕置きしないとね。」
意地悪そうな目。
「何するの?」
「乱暴にしちゃおっかな。」
顎を掴まれ無理やり上に向けられる。
そして、綺麗な唇が近づいてくる。
目をぎゅっと瞑り、体を硬くした。
激しくされると思ってた。
でも違った。
思ってたのと違った。
優しくて、愛に溢れて、とろけるようなキスをしてくれた。
悟が乱暴な事なんてするはずないのに。
身構えた自分を恥じた。
脳が痺れる。
体の力が抜けていく。
抗うことなんてできない。
熱い舌がゆっくりと滑り込む。
絡まり、唾液が混ざる。
「ンンッ。」
思わず漏れる声。
少し離れてただけでこんなにも想いが募ってたなんて。
「七海のキスとどっちがいい?」
唇を離した悟に聞かれた。
「何でそんなこと聞くの?」
「昨夜はちゃんと答えてくれたじゃん。」
「えっ?私が?」
「僕と七海どっちのエッチが良かった?って聞いたら悟のがいいって言ってくれたよ。」
「う、そ?」
「えー、覚えてないの?僕、超嬉しかったのに。」
「超?」
「うん、超。僕、お前の事、超!好きだから。」
「何で?」
「何でって今更聞く?」
「私のどこが良いの?」
「それも今更だろ。何年付き合ってたと思ってんの?全部だよ。ちっちゃくて可愛くて強くて家庭的で優しくて、でも気が強くてお嬢なのに倹約家で色々頑張ってて、僕と同じ夢見てくれて着いてきてくれて……本当、お前には頭が下がるよ。僕みたいなの男の事好きになってくれた事、尊敬してる。」
「悟は最強でしょ?おまけに御三家、五条家の当主
だよ。すごい人なんだから、私だって尊敬してるよ。」