第4章 ●気になる●
体を起こした五条が言った。
「うんっとぉ、クッキーとかケーキなら作ったことあるけど。」
そう答えると五条の顔がパッと明るくなった。
「今度作って!」
満面の笑みで言った。
「こら、五条。調子にのんな。」
ベランダから戻った硝子が怒った。
「そうだよ、悟。七海が怒るぞ。」
夏油も硝子に続いた。
「えー、じゃあ七海に内緒でお願い。」
そう言うと五条は舌をペロッと出した。
その仕草が可愛いと思ってしまった。
「内緒はどうかと思うけど、今度作る事があったらお裾分けするね。」
「わーい、やったー。」
五条は心底嬉しそうに笑った。
3人が帰ったあと、片付けをしていると建人がやってきた。
「あの人達が来たんですか?図々しいにも程がある。」
そう言って怒った。
でもキスしたら機嫌が治った。
「さあ、行きますか?」
「うんっ!」
今日は建人とデート。
東京を案内してもらう。
彼の腕を取り、歩いた。
東京での学生生活はこうして順調に進んでいった。
さらにひと月ほど経ったある日、
「悟、恋、2人に任務だ。」
夜蛾先生から任務の説明を受ける。
何でも北関東のとある村の旧小学校に呪霊がいるとの事だった。
「俺は正面から、お前は裏から入って。」
五条の指示で動く。
「わかった。」
言われた通り、裏口に回る。
建物に入ると何だかひんやりした。
しばらく歩いていると、子供の泣き声が聞こえた。
「うえーん、うえーん、おかあさーん。」
声のする方へ行く。
「ここ、かな。」
そこは保健室の様だった,
ガラガラー
戸を開けると目の前にはベッドが置いてあり、その上に子供がいた。
「こんにちは、キミ名前は?」
恐る恐る声をかける。
「ぼく、の名前?ぼく、名前はないの。」
その時気がついた。
その子供はお腹に穴が空いていたのだ。
「子供に化けんなよっ!」
私はそう言って目の前の呪霊をキッと睨む。
「ふーん、お姉さん結構やるじゃん。」
子供に化けた呪霊はみるみるうちに姿を変え、目がいくつもついている怪物になった。
「キモ…い。」
思わずつぶやく。