第32章 ●逸る●
ネックレスと下着だけになった恋。
僕が買ってあげた小さなダイヤのネックレス。
もっと高いものもあるのにこれがいいって聞かなかった。
御三家ほどではないにしろ龍家だって一般家庭よりは裕福だと思う。
それなのにコイツは倹約家なんだよな。
「ちゃんと見た?」
「ううん、まだ。ちょっと待ってて。」
キッチンへ行き、ワインを取ってきた。
「飲む?」
「うん。」
栓を抜き、グラスに注ぐ。
「どうぞ。」
「ありがと。」
恋がゆっくりひと口飲む間に僕は一気に飲んだ。
再び注ぎ、流し込む。
「どうしたの?」
心配そうな顔で見つめる恋。
「あんまり飲んでなかったから。」
「そう。フフフッ。」
「何がおかしいの?」
「いちゅも余裕な悟が震えてたから。」
グラスをテーブルに置き、恋を抱きしめた。
「お前が好きだからだよ。」
「…………あったかいね、しゃとるは………」
「眠いの?」
「ねみゅいよお。」
僕に体を預ける恋。
可愛い恋を見てると切なくなる。
さっき僕は何で震えてたんだろう。
「じゃあ、眠気覚ましてあげるね。」
恋の細い肩に手を添えて体を離し、僕の唇で恋の可愛い下唇をハムって咥えた。
また震えてるかもしれないけど気にしない事にしよう。
どんな姿だってさらけ出そう。
恋が好きだから。
「ンッ、ヤダ、ハムってした。」
「目が覚めた?」
「少し。」
「七海とはどんな風にエッチしてたの?」
「どんなって………建人はこうするのが好きなの。」
そう言って恋は僕に跨った。
僕の首に手を回す恋。
「七海、これが好きなの?」
「うん。これでイチャイチャするのが好きなの。」
「恋は?好き?」
「悟となら何でもいい。」
潤んだ瞳で僕を見つめる恋。
そんな目で見つめられると切なくなるじゃん。