第4章 ●気になる●
「そう。わかった。」
そう言うと硝子はタバコを灰皿に押し付けた。
その時、廊下の方から声が聞こえた。
「俺たちも朝ごはん食べたいなぁ。」
五条だった。
「何厚かましい事言ってるのよ。」
硝子が怒る。
「だってー、オールで遊んでたからお腹すいちゃったんだよ。なぁ?傑」
「悟、いくらなんでも厚かましいよ」
後ろから夏油が現れる。
「エエーッ。ダメなのぉ?何で?いいじゃん、恋。お願い。」
五条が私に近づいて懇願してきた。
ち、近い。
「…い、いいよ、別に。材料はあるから。」
思わずOKしてしまった。
五条からはバニラのような甘い香水の香りがした。
「やったー!わーい。」
子供の様にはしゃぐ五条に自然と笑みが溢れる。
「悪いね、恋。七海に怒られないかな?」
夏油が申し訳なさそうに言った。
「さっきの話聞いてたんだ。」
苦笑いする私。
「悪い、聞こえてしまったんだ。」
そう言って夏油は笑みを浮かべた。
「そういえば大丈夫なの?こいつらにあんたの手料理食べさせて。七海ブチ切れんじゃない?」
硝子が心配そうに言った。
「大丈夫よ。建人はそんな小さい事で怒ったりしないから。」
こうして私たち4人は私の部屋で朝食をとる事になった。
「硝子、コーヒーお願い。」
料理をしている間、硝子にコーヒーを淹れてもらう事にした。
「了解。夏油はブラックで、五条は砂糖何個?」
「10個。」
私は耳を疑って聞いてみた。
「10個?五条、それ何かの冗談?」
「いつもこうよ。」
硝子が平気な顔で角砂糖をカップに放り込んでいる。
「俺ってさぁ、頭使うんだよね。頭使うと甘いもの欲しくなるから。」
五条が真面目な顔で答えた。
「はーい、お待たせ。」
トースト、スクランブルエッグ、味噌汁の朝食が出来上がった。
「美味そう。」
五条はそう言うなり、スクランブルエッグを口にかき込んだ。
「悟、そんなにいそいで食べると喉につめるよ。」
夏油がたしなめる。