第4章 ●気になる●
「フワァー、よく寝た。今日はお休みだぁ。」
東京に来て一週間、今日はこっちに来て初めての休日。
「ゲッ!まだこんな時間?」
よく寝たつもりがまだ5時だった。
かと言ってもう眠れない。
顔を洗い洋服に着替えた。
そしてロビーの自販機でジュースでも買おうと思い外へ出た。
ロビーに行くと誰かがタバコを吸っているのが見えた。
あの日を思い出す香り。
「硝子?」
「あれ?恋。どした?早いね。」
タバコを吸っていたのは硝子だった。
「早く目が覚めたからジュース買いに来たの。こんな朝早く硝子は何してるの?」
「あー、昨夜は飲みすぎて。」
硝子は頭をかいた。
「飲み過ぎってお酒?タバコだけじゃなくてお酒も飲んでるの?未成年なのに。」
「うん、まあね。普段はそんなに飲まないんだけど、昨夜はちょっと…ね。」
「どうしたの?硝子。私でよければ聞くよ?」
「恋って七海とはどのくらい?」
硝子は話を逸らした。
「な、ななみ?」
一応、とぼけてみる。
「誤魔化さなくていいよ。あんたの部屋に入ってく七海見かけたんだ。」
「…マジで?そっか。建人とは2ヶ月くらいかな。」
正直に答えて、ジュースを買った。
硝子の横に座り、蓋を開ける。
硝子は何も言わずタバコをふかしていた。
「年下かぁ、私的にはないなぁ」
硝子が呟いた。
「そう?硝子はどうなの?彼氏いるの?」
「うーん。彼氏っていうのかなぁ?男はいる。年上の。」
「そうなんだ。年上ってどのくらい?」
「ひと回り上。前のは15上だった。私、年上にしか興味なくって。同年代とか全然興味湧かないんだよね。」
「そっかぁ。硝子、大人っぽいもんね。」
「でも、あんた達みたいなカップルに憧れる事もあるんだよ。」
硝子は2本目のタバコに火をつけて言った。
多くは語らないけど、何か辛い事があったんだろうなと思った。
「ねぇ、硝子。今からウチ来ない?朝ごはん作ってあげるから。」
「朝ごはん?あんた、料理できんの?」
「うん。何も出来ない男と暮らしてたから自然とできるようになったの。」
「何もできない男って七海…じゃないよね?アイツは何でもできる男って感じだし。」
「そう…ね。そこら辺の事は朝ごはん食べながらゆっくり、ね。」