第30章 ●慮る●
「いっぺん始まりに戻れ。世の中何でもお前の思い通りになると思うたら大間違いじゃ。」
「恋ちゃんブチ切れちゃってますます嫌われちゃうじゃん。始まりどころかマイナスだよ。」
「早い方がまだ傷は浅い。それに、あの子の事じゃから薄々感づいてはおったじゃろ。」
「マジで……」
「お主、五条悟のくせしてそんな事もわかっとらんのか?まだまだ青いのう。わしはお主が無理を通そうが御三家の誰を殺そうがどうでもよい。御三家上等じゃ!五条悟よ、もう一度恋を本気で惚れさせてみい!結婚の話はそれからじゃ。」
「わかったよ、おばあちゃん。」
そして、おばあちゃんは蛇を戻した。
急いで高専に戻り、愛しの恋を探す。
「硝子、恋どこにいるか知らなーい?」
硝子の所へ行った。
「あ、史上最悪のクズ男だ。」
タバコをふかす硝子の隣に和くんが立っていた。
「五条くん、やっと来たね。」
和くんもタバコを吸ってる。
「アンタはほんっとうにクズだね。酷すぎだよ。恋が可哀想、色んな奴に振り回されて。五条、和くん、七海、鬼ババア。」
硝子が言った。
「そうだよ、建人がねえ。アイツが他に女作るとはね。」
和くんがタバコを消しながら言った。
「アンタが偉そうに言うなよ。」
和くんを睨む。
「とにかく恋は自由だ。じゃあ、俺は帰るよ。愛しい妻と息子が待ってるからね。」
そう言うと和くんは部屋から出て行った。
「まさかアンタが他にもヤッてたとは。」
硝子がタバコを灰皿に押しつけながら言った。
「マミちゃん以外は一回きりだよ。」
「あのねえ、一回でもヤったら浮気なんだよ。」
「恋は?」
「あの子、勘づいてたみたいよ。」
「どこに行った?」
「さあ?」
「頼む、教えて。」
手を合わせて頼み込む。