第29章 破れる
味噌汁、卵焼き、ご飯。
簡単な和朝食。
硝子も起きて来て、3人で朝ごはんを食べた。
「はー、やっぱ味噌汁いいね。二日酔いの体に染み渡る。」
「お前はおっさんかよ。」
「うるさいなあ、五条。何でアンタまでいるのよ。」
悟を睨む硝子。
「鍵渡したのお前だろ?」
「そうでした。」
「これは恋が膝枕のお礼にって作ってくれたんだ。」
悟の卵焼きだけ大きい。
「膝枕?」
硝子が不思議そうに言った。
「何か寝ぼけてて全然覚えてないんだけど、気づいたら悟の膝枕で寝てたの。」
「寝顔可愛かったよ。」
悟が私を見つめる。
「五条、今日は任務ないの?」
硝子がすかさず話題を逸らしてくれた。
「僕、今朝帰ったばっかだよ。いくら何でも鬼でしょ。そういや、七海は?」
「昨日の夕方から任務に行ってる。」
「彼氏が留守の間に酒盛りしてていいの?七海怒らない?」
悟が私の顔を見る。
「怒らない………優しい………から。」
少し、言葉に詰まった。
「ふーん。」
悟にはまだ言えない。
「恋、今日の予定は?」
また、硝子が助け舟を出してくれた。
「おはぎ作る。」
「何でおはぎ?お彼岸でもないのに。」
不思議がる硝子。
「七海の好物だろ。」
悟が静かに言った。
「うん。」
「僕も好きだよ。あんこのやつ。」
「知ってる。食べる?」
「うん。食べる。」
「じゃあ、出来たら連絡する。」
「わかった。」
硝子の家を出てスーパーに行った。
あんこ炊いてる時間がないから生の小豆じゃなくてあんこを買うことにした。
建人の好きなきな粉と青のりも買った。
家に帰って炊飯器で餅米を炊く。
きな粉と青のりのおはぎには中にあんこを入れた。
悟にあげる分はあんこ8割、きな粉2割。
タッパーに詰めた。
そして悟に電話をかける。