第29章 破れる
自分で言っておいて笑いが止まらなくなった。
だいぶ酔っ払ってるみたいだ。
「アッハハ!離れないだって。折角本能の赴くままに動くのに何で1人の男にくっついてなきゃいけないのよっ!アハハ!」
硝子がそう言ってお酒を飲み干す。
彼女も同じように酔っている。
「だって愛してるんだもん。えへへ。」
「龍さんのこんな姿見たら五条さん泣いて喜こぶだろうなあ。」
「何言ってんの?伊地知。私みたいなおもーい女見て悟が泣いて喜ぶわけないじゃん。アイツはふわっふわのわたあめみたいに軽いんだから。触るとベットベトだけどね。」
「上手いこと言うねえ、恋。さあ、飲んで!」
「もう、飲めないよ、硝子ぉ。」
「龍さーん、元気出してくださいねえ。」
3人ともかなり酔っ払ってる。
「何か眠くなってきちゃったあ。」
欠伸をする私。
「私も。」
硝子も欠伸をし始めた。
「えー!?お二人とも寝ちゃうんですかあ?じゃあ、私も………」
「お前ら何してんの?あれぇ!?うそうそうそうそ!恋まで!何で伊地知と引っ付いて寝てんのお!?」
悟のバカみたいに大きな声で目が覚めた。
「ンーッ、ンンッ、アァッ、頭痛い、うるさいなぁ。」
「もう、こんな時間からエッチな声出すなよ。元気になっちゃうじゃん。」
目を覚ますと目の前にニヤついた悟の顔があった。
「何?今日3人とも休みなんだけど。」
どうやら私と硝子は伊地知の両側から彼にもたれかかって眠っていたようだ。
「そんなに睨まなくてもいいじゃあん。あっ、ちょっと待っててね。おいっ、伊地知起きろっ!」
伊地知の耳元で大声を出す悟。
「あー、えっ!?ご、五条さん!すっすみません!」
「伊地知お前、後で殴る。」
「ええーっ!?」
「もう、伊地知うるさいよ。」
硝子が目を覚ました。
「家入さん!朝から美しい!」