第29章 破れる
「だから、大丈夫じゃないって。バチが当たったのかなあ。悟の事勝手に捨てたから。」
「それは違うでしょ。アイツが浮気するのが悪い。そんなに五条が好きなら戻りゃいいでしょ。向こうはラブラブ光線出しまくりなんだから。」
「そんな簡単に戻れないよ。」
「前から言おうと思ってたんだけど、アンタは色んな事を深く考えすぎなの。だから、複雑になるんでしょ?単純に考えればいいのよ。好きだから寝る、嫌いだから別れるってね。」
「ずいぶん簡単だね。私もそんな風に生きられたらいいな。」
「今からでも遅くない!自分の人生でしょ?」
「そうだよね。でも、あの鬼ババアがなんて言うか。」
「和くんは好き放題やってんでしょ?」
「うん。何の音沙汰もないっておじさんとおばさんが悲しんでるよ。」
「お母さんも自由奔放にやってたんでしょ?アンタだけ縛られるのっておかしくない?」
「本当だね、おかしいね。フフフッ、何かおかしすぎて笑えてきたよ。」
「あれ?龍さん、もう七海さんと別れちゃったんですか?」
2人だけじゃ寂しいから伊地知も誘った。
「そうだよ。建人くんは涼子ちゃんとラブラブなの。」
「伊地知、アンタは悩みなんてなさそうだね。アハハ。」
硝子が伊地知を見て笑った。
「本当だ、幸せそうで羨ましいよ。」
私も賛同した。
「そんなあ、私だって悩みぐらいありますよお!」
むくれる伊地知。
「あーあ、悟みたいに本能の赴くままに生きてみたいなあ。」
天井を見上げながら言った。
「龍さん、本能の赴くままに生きるとどうなるんですか?」
「うふふ、伊地知も野暮だねえ。そんなの決まってるでしょ。あのねぇ、私が本能で動いたら五条悟っていう最強の男にひっ付いて離れなくなっちゃうよ。えへへへへへ。」