第27章 決する(五条の場合)
恋と2人きりのこの時間は至福の時。
「どう?」
「美味いよ。」
「良かったぁ。」
「ありがとう、恋。」
「どういたしまして。」
これ、どこからどう見たって恋人同士だよな。
「はあ、今日も可愛かったなあ。弁当も美味かったし。あーあ。」
その日の夜、いつものように硝子と飲みながら盛大にため息を吐く。
「また恋の弁当食べておかしくなってんの?」
硝子が言った。
「だってあんな近くにいるのに何もできないんだよ?お前にわかるか?この気持ち。」
「わかりたくもないね。」
「相変わらず冷たいな、硝子は。」
「私はね、クズが嫌いなんだよ。」
そう言って硝子はグラスを空にした。
「七海に怒られないの?別れた男に弁当作ってて。」
3日後、また弁当を作ってくれた恋に聞いてみた。
「建人なら大丈夫。そんな事で怒るような小さな男じゃないから。」
「ふーん。」
アイツは何年もお前の事をうじうじ思い続けてたんだぞ?
今の僕と同じだな。
「あー、やっぱりここのは美味しいね。」
今日は弁当のお礼に恋の好きな店の苺大福を買ってきてあげたんだ。
デザートに苺大福を食べる恋。
口の横に粉がついてる。
可愛いな。
「粉ついてる。」
「えっ?どこ?」
「そこ。」
「どこ?」
「ここだよ。」
そう言って粉がついてるところにキスをした。
「っ、な、何するの!?」
顔を真っ赤にしてキスされたところを手で押さえる恋。
何?その反応……可愛すぎなんですけど。
「だって粉ついてたから。」
「だ、だからって……もおっ!何で?」
真っ赤な顔であたふたする恋。
「もう一回していい?まだ粉ついてるし。」
サングラスをずらし、六眼で恋の瞳を見つめる。
「ダメ。」
「じゃあ、舐めさせて。」
「ハァ?何言ってんの?バカなの?何なの?」
目を見開いて怒る恋。