第27章 決する(五条の場合)
好きな女を泣かせた。
蒸し暑い、熱帯夜。
僕が惚れた女は泣きじゃくっていた。
全ては僕が招いたこと。
信頼を失い、別れを告げられた。
だけど、手放したくない。
だから僕は恋に親友になってくれと懇願した。
親友なら何でも話せるし、同じ夢を見たって構わないだろ?
僕は恋が好きだ。
これからも愛していく。
よき、親友として。
幸いにも僕たちは同じ職場だから毎日会える。
表向きは何も変わらない。
NAME1#の心は僕から離れたけど、恋が幸せなら僕はそれでいい。
初めてあった日の事を思い出す。
あの日も蒸し暑かったな。
地味で大人しそうな女だと思った。
だけど戦う姿を見て急に気になり始めて。
後輩の女だったけど無理矢理唇を奪った。
そしたら無視されるようになって。
それが逆に火を点けて我慢できなくなった。
色んな思い出が蘇る。
禁欲中に他の女に手を出して恋を怒らせた事もあった。
その後、親友の傑が恋に乱暴した。
僕はすごく怒ったし、落ち込んだ。
だけど、恋は強かった。
僕なんかよりよっぽど。
心が強かった。
そんな恋に惚れなおした。
だけど僕は泣かせてばかりだった。
直哉にハメられて恋を捨て、他の女に走ったんだよな。
恋は七海のところに行かず、僕を信じて待っててくれた。
エッチなお仕置きされたけど、その後ご褒美いっぱいくれた。
僕はまた、恋に惚れなおした。
それなのに、僕はまた過ちを犯した。
今回も謝れば許してもらえるって思ってた。
僕は大バカだ。
恋は僕の手を離れた。
だけど、僕たちが愛し合った事は決して忘れない。
忘れるわけない。