第26章 ●決する●
「じゃあ、悟とは付き合うなって事?」
「そうは言うとらん。昔っから龍家の女は男関係が派手での。お前の母もそうであったろ?ワシも若い頃は色々とな……フォッフォッフォ。」
「大ババ様も?」
「そうじゃ。お前が男遊びするのは止めん。せいぜい、五条のガキで楽しめ。アレはあっちの方がだいぶ良さそうじゃ。」
このババア、ひ孫になんて事言うんだろう。
「何言ってんのよ。」
「30までじゃ。それまでに五条のガキと別れて御三家でも跡取り息子でもない術師と一緒になれ。」
「そんなに猶予くれるんだ。」
「藍で懲りた。若い時は遊ばせといた方がいいんじゃ。」
私の母は20歳で結婚して翌年に私を産んだ。
その後、男に走ったから。
「そうだ。ここの、本家の跡取りはどうなるの?」
「次は和臣、その次は和之進、その次はお前。」
やっぱ私も入ってんだ。
龍家の血筋で術師って実は意外と少ない。
そんなことよりだ。
「和くんいなくなっちゃったじゃん。」
「アイツならその内、金が尽きたら返ってくる。あのバカは逃げる時にウチにある金目のもんかっ攫って行きおった。」
「マジ!?……」
「じゃからその内帰る。心配するな。」
大ババ様、あれから何年も経つけど和くん帰ってないじゃん。
どっかで幸せに暮らしてるのかな。
久々に和くんの事思い出して悲しくなった。
悟とも終わったし。
初恋の男は今どこにいるのかな。
会いたいな。
和くんが消えてから色々あったよ。
建人と付き合って、東京へ来て、悟に出会って別れて。
私、強くなったよ。
早く帰って来てよ。
和くんのいない龍家は寂しいから。
寂しいな。
「恋、恋。」
私を呼ぶ声が聞こえた。