第26章 ●決する●
「結局、2人は友達になったわけ?」
3人でお茶しながら硝子が言った。
「うん。親友にね。」
悟が答える。
私は硝子が出してくれたクッキーを口いっぱいに頬張っててしゃべれないから。
「五条にしてはやるじゃん。いい落とし所だよ。別れ話で揉めて五条が暴れ出したら止めに入ろうと思ってたんだ。ねえ?恋。」
「うむ。ほうられ。」
クッキーが口いっぱいに入っててうまくしゃべれなかった。
「お前、ちょっと食い過ぎじゃない?」
「本当だ。恋、大丈夫?」
「だって、おいひいから。」
心配する2人をよそにクッキーを食べて食べて食べまくった。
「ハァー、満腹、まんぷくぅ。」
お腹をさすりながら椅子の背もたれにもたれかかる私。
「そんな事してたら七海に嫌われるよ。」
悟にたしなめられた。
「前にもこんなことがあったよね?恋。」
硝子に聞かれた。
「うん。あったね。その時もクッキーだった。」
「そうそう、ハニートラップの時だ。あの時、七海と3人でここでお茶してたらこの子がめちゃくちゃ食べちゃって。さっきみたいに満腹ってお腹さすってたよ。」
硝子がそう言って笑った。
「お腹いっぱいになったら横になりたくなっちゃった。」
ここは保健室。
ベッドがあるじゃない。
とぼとぼと歩いてベッドの側まで行き、腰掛けて横にゴロンと倒れた。
「子供だね。恋のこういうとこ、七海が好きなんだよ。」
硝子が言った。
「あ、そうだ。終わったら建人に電話するんだった。忘れてた。」
寝っ転がったまましゃべる。
「忘れちゃってたの?七海かわいそうに。いいよ、僕が電話するよ。」
そう言って悟が建人に電話をかけた。
今日はいっぱい泣いて、いっぱい食べた。
そして、悟と親友になった。