第26章 ●決する●
「ん、ううっ、頭いだぁい……あれっ?、ここ、どこ?」
目が覚めると頭がとても痛い。
しかも、見慣れない部屋。
そこで気づく。
建人……
そうだ、昨夜建人のところに泊めてもらって……
思い出した。
ワインを飲みすぎて少し大胆になった自分の事。
大人になった建人の体がとてもセクシーだった事。
意識が吹っ飛びそうなほど燃えた事。
終わった後、建人が好きって言ってた事。
「うわっ。」
思い出したら顔から火が出そうなほどに恥ずかしくなった。
「あれ?建人……いない。」
隣で眠っていたはずの建人の姿が見えない。
ゆっくり起き上がると自分が何も身につけていない事に気がつく。
ふと、ベッドの横にあるテーブルに目を向けると昨日建人に借りたパーカーが綺麗に畳まれており、その横に下着まで畳んで置いてあった。
「さっすが、建人。」
建人みたいな男がやるから自然だし、素敵なんだよなぁ。
これを悟がやると、何か企んでるかやましい事があるかのどっちかだろう。
悟の場合、自分の服すら畳まないからなぁ。
建人はやることがスマートなんだよなぁ。
そんな事を思いながら下着とパーカーを身につけ、寝室を出た。
「おはようございます。起こしてしまいましたか?」
キッチンで洗い物をしている建人。
昨夜のピザやワイングラスなどは綺麗に片付けられていた。
「おはよ。大丈夫だよ。ごめんね、お片付けも何もしなくて。」
「あなたはお客さんですからいいんです。コーヒー飲みますか?」
「うん。ありがと。」
自分のバッグの中からスマホを取り、ソファに座った。
スマホの電源を入れる。
数件、悟からのメッセージ。
昨日見たのとほぼ同じ内容。
悟とはもう、終わらせるつもり。
建人とこうなったからじゃない。
もう、潮時なんだ。
「どうかしましたか?」
スマホを持ったままぼーっと考えていたら建人に呼びかけられた。
「なんでもないよ。」
「どうぞ。」
そう言ってマグカップを差し出す建人。
「ありがと。」