第25章 苛まれる
それ、まるっきり今の僕だ。
「悟くんも逆ギレしちゃったんでしょ?それで昨夜私のとこ来たんだよね?」
「マミちゃんって何か大人だね。」
「色んな男見てきたからね。」
「へえ。」
「実はその元カレとより戻そうと思ってるの。あれから反省したみたいで、最近は真面目にやってるし。バカなのに勉強して資格取ろうとしてるし。それが取れたら給料上がるから私にプロポーズするんだって。私も他の男と寝てみてわかったんだ。やっぱりアイツが好きだって。だから悟くんも真面目にやってたら恋ちゃん戻ってくれるかもよ。」
「そうだといいけどね。」
「あっ、そうだ。ここのポイントカードあったでしょ?あれ元カレの財布からパクったの。別の男と行ってポイント貯めてやろうと思って。」
「元カレもここに来てたの?」
「ううん、アイツはここじゃなくて家の近くにある系列店の方。普通、家の近くでする?そういうとこバカなんだよね。」
「そのポイントカードで浮気がバレた僕は大バカだね。」
「あ、カードなくしたと思ってた。悟くんが持って帰ってたの?」
「うん。ポケットに入れたまま忘れてた。」
「そうなんだ。カードは捨てといてね。もう必要ないから。早く恋ちゃん戻ってくるといいね。悟くんもちゃんと反省して真面目になりなさいよ。」
「は、はい。」
何故か敬語になった。
しかし、頭いてぇな。
ホテルを出てマミちゃんと別れ、スマホを見るとまだ朝の5時だった。
メッセージを確認するけど恋からの返信はなかった。
泣きたくなるような悲しい気持ちを何とか押し込め、伊地知を呼んで家に帰った。
酔いを覚ますために熱めのシャワーを浴びる。
大好きな恋。
本気で惚れた女は恋だけだ。
それなのに僕は……
マミちゃんが言う通り、真面目にやってたら帰ってくるのかな?
だけど、七海が離さないだろうな。
あー、マジ頭痛い。
「恋ちゃーん、よしよしってして。」
何言ってんだ。