第24章 ●獲る●
「わかった。とにかく頑張れ!私はアンタの味方だよ。」
「ありがとうございます。では、代わります。」
スマホを恋に渡した。
「あっ、もしもし硝子?」
恋が話している間、スマホで宅配ピザのメニューを調べた。
「じゃあね、おやすみ。」
電話が終わったのを確認し、彼女に聞く。
「すみません、何も買い置きがないので夕食はピザでも頼みますか?」
「うん、ピザ大好き。」
もちろん、知っています。
そしてあなたがマルゲリータを頼む事も。
「私、ゴルゴンゾーラとマルゲリータが食べたいなぁ。」
ほら、当たった。
ピザが届くまでの間、お酒の準備をする。
「ビール、ワイン、梅酒もありますよ。」
「ワインかな。甘めのやつある?」
「あります。」
「じゃあ、それで。」
先程家入さんに言われたこと、実は当たっていた。
どうしても遠慮してしまう。
落ち込んでる時につけ入りたくないと思ってしまうから。
なので今夜は、お酒の力を借りようと思った。
「「かんぱーい!」」
ピザが届き、赤ワインで乾杯した。
ワインをひと口飲み、テーブルにグラスを置こうとしてふと気づいてしまった。
恋が着ているのはファスナー付きのパーカーだ。
そのファスナーが少し下がっており、ただでさえダボダボで胸元が大きく開いてしまっているものだから、上から見ると黒い下着に隠されている柔らかそうな胸が丸見えだったのだ。
み、見なかった事にしよう。
まるで少年のように狼狽えてしまう。
「ところで、さっき何話してたの?硝子と。」
不意に聞かれた。
「恋をよろしく頼むと言われただけです。」
まさか、本当の事を言える訳ない。
「そうなんだ。私の方は、あの後の悟の事教えてくれた。私が逃げ出した後、硝子が説教したんだって。」