第24章 ●獲る●
「すみません。調子に乗りました。」
「謝るところが建人らしいね。」
「……ダメですか?」
次は、唇にキスをした。
この感触、久しぶりだ。
やはり、恋の唇が1番いい。
他の女性を抱いている時もこの人を想っていた。
「恋。」
唇を離し、名前を呼ぶ。
「けんとぉ。」
彼女も呼んでくれた。
甘い声で。
起き上がらせ、自分の膝の上に座らせる。
「ンンッ。」
再び唇を貪りながら耳を触ると喉の奥から声を出す。
その音色に胸が躍る。
「ハァ、ハァ。」
息が上がる。
「建人、大丈夫?」
「久しぶりに、あなたを近くに感じたもので。緊張してます。」
「実は……私も。ねぇ、抱きしめて。」
両腕を広げる彼女の瞳は憂いを帯び、悩ましげな表情と相まって私を昂らせる。
その瞳はこれから起こることへのとまどいか、それとも期待か。
是非後者であって欲しいと願い、彼女を優しく抱きしめた。
「ギュッてして。」
お願いされ、回した腕に力を込める。
「恋、私はずっとあなたを想っています。」
「多分……私も気づいてたんだと思う。それなのに気づかないふりをして、建人に甘えてた。本当、ごめん。泣きたい時だけ利用して。」
恋がこんな風に思っていてくれたとは……
「いいんです。私はそれが嬉しかった。あなたに必要とされるならそれは本望です。」
「建人……」
「こんな男、重いですよ……ね。」
「そんな事ない。重くなんかないよ。嬉しい……」
こんな話の途中だが、私は今ある1つの思いに囚われていた。
「あの……今更ですみませんが、私、汗臭くないですか?」
「へっ?」
体を離し、不思議そうな顔で私を見上げる恋。
「任務から帰ってそのままなので……」
「そんな事言ったら私だって仕事終わりでそのまま来たし……」