第24章 ●獲る●
「以前、私が言ったこと覚えていますか?今度泣かせたら奪うと。」
そう言うと、スマホの向こうで息を呑む気配がした。
「お前、今から恋とヤルの?」
そんな言い方しか出来ないのかと、半ば呆れる。
「とりあえず今夜はウチに泊めます、では。」
一方的に通話を切った。
恋の背中に手を回し、肩を引き寄せる。
肩にもたれかかる愛しい人。
香りをを胸いっぱいに吸い込んだ。
どのくらいそうしていたのだろう?
ふと気づくと彼女は眠っていた。
起こさないよう気をつけながら、自分の膝の上に倒す。
スヤスヤと眠っている。
頬に涙の跡があった。
指で拭ってやる。
可愛い寝顔。
この寝顔を自分だけのものにしたかったが、叶わぬ夢だと自分に言い聞かせてきた。
しかしさっき恋から聞いた話はある意味では衝撃だった。
五条さんはわがままだ。
五条家は彼のワンマンで自由にできる。
だから、あの人は無理矢理にでも恋と結婚するものだとばかり思っていた。
だけどそれは叶わないらしい。
龍家にそんな事情があったなんて。
見つめていると、彼女が目を覚ました。
「け、んと?」
「恋………」
名前を呼ばれただけなのに顔が熱くなる。
「ごめん、建人、重かったよね。」
慌てて起きあがろうとするのを止める。
「大丈夫です。眠ってて下さい。もう少し、こうしていたい。」
自分で言っておいて更に顔が火照る。
目を閉じた彼女の頭を撫でる。
ゆっくり、ゆっくりと。
そして次は指の腹で額、まぶたとなぞっていく。
鼻筋、頬、そして唇を指で触る。
すると小さな唇が僅かに開き、中から可愛い舌が出て私の指を舐めた。
ビクッとする自分の体。
可愛い過ぎる。
たまらず額にキスをした。
心なしか彼女の体もビクついたような気がした。