第24章 ●獲る●
「お疲れ様です、七海さん。」
「あなたもお疲れ様です。では、戻りましょうか。」
討伐任務を無事に終え、帰路につく。
車の中でスマホをオンにすると、家入さんからメッセージが届いていた。
七海、大チャーンス!!
あなたの大切な恋が泣いてるよ。
あのクズがまた浮気した。
今回のはひどいよ、3ヶ月前から任務の度にキャバクラのホステスとラブホ通い。
助けてあげなさい。
何が大チャーンス!!だ。
家入さんは完全に面白がっている。
だけど、これは一大事だ。
「すみません、違反しない程度に急いでもらえませんか?」
補助監督に頼んだ。
「わかりました。」
「それと大変恐縮なのですが、報告は1人でお願いしてもよろしいでしょうか。少し、急用が出来たもので。」
「私1人でも大丈夫ですよ。珍しいですね、いつも最後まできちんとしている七海さんが。」
「大切な人のためですから。」
そして、その大切な人に電話をかける。
「建人、助けて。」
「今、どこです?」
「裏の林。」
助けを求められた。
私は彼女を助けることを生きがいにしている。
これこそが、自分の生きる道だと思っている。
親友を亡くし全てに絶望していたが、彼女のために生きる事を決意した。
「ありがとう、恩にきます。」
高専に着き、車を降りながら礼を言った。
「頑張ってくださいね!」
「え?」
「大切な人、守ってあげて下さい!」
「ありがとう。」
急いで裏の林へ向かった。
石段の前まで行くと、夕日に照らされた恋がいた。
駆け寄ると、彼女の方から私の胸に飛び込んできた。
抱きしめる。
フワッと香る懐かしい香り。
自分を頼ってくれた事が嬉しかった。
「では、行きましょうか。」
手を出すと、躊躇う事なく掴んでくれた。
そして、自宅へと彼女を誘った。
自宅に帰り、コーヒーを飲んでいると五条さんから電話があった。