第23章 陰る
「はぁ、そうしたら後ろでイチャイチャし始めちゃって。もう、私困りましたよ。」
伊地知が当時を振り返り、ため息混じりに語った。
「そのままマミちゃんとホテル直行、て訳か。」
「はい、そうです。家入さん。それからも任務の度にマミちゃんと会ってます。大体週1か、週2です。」
「それで会員カード作ったわけか。あそこは会員になると安くなるのよ。ポイント貯めるとステーキのルームサービスがただになったり、大人のオモチャくれたり、色々とあってね。」
「家入さん、よくご存知で。」
「私もそこの会員だから。」
硝子のその言葉に伊地知は大変なショックを受けたようで、トボトボと部屋を出て行った。
「何なの?アイツ。」
「硝子がラブホの会員だっことがショックだったんじゃない?」
「何で?」
伊地知の気持ちにまったく気付いていない硝子。
「さあ?何でだろうね。」
「アイツのことなんてどうでもいい。それより問題は五条。今日の予定は?ここにいるの?」
「ううん、今日は学長のお供で会議に行ってる。戻るのは夕方だと思うよ。」
「じゃあ、メッセージ送っとく………後で保健室に来いっと、これでよし。」
硝子がスマホで悟にメッセージを送った。
「ねえ、硝子。これって絶対ハニートラップじゃないよね?」
「だろうね。たまたま入ったキャバクラで知り合ってるんだから。」
「酷いよね?」
「酷すぎだね。また、あのお仕置きする?」
「………ううん、もうあんな事する気力もないよ。」
「疲れたの?そりゃそうだよね。あのバカでわがままな男の相手するの疲れると思うよ。」
「うん。それでこの裏切りでしょ?何かもう、バカらしくなってきた。悟を好きなことが。もうそろそろ潮時なのかも。」
「前に言ってたアレ?30までに別れろって言われたって。」
「うん。」
「じゃあ、七海んとこ行く?」
その言葉に驚いた。
「何で建人?」
「だって、前に五条に行ったんでしょ?次やったら七海んとこ行くって。」