第22章 苦悩する
「恵、話聞いてくれてありがとね。」
「恋ちゃん、大丈夫?」
「うん。建人が来てくれたからもう大丈夫よ。」
「では、行きましょうか。」
手を差し伸べる七海さん。
「じゃあね、恵。」
その手を掴んだ恋。
そして2人はどこかへ行ってしまった。
考える時が来たっていうのは七海さんの事だったのか。
「あーあ。」
その場に留まり、赤く染まった空を眺める。
俺じゃ恋の力にはなれないのか………
七海さんが来た時の恋、嬉しそうだったな。
その時、人影が近づいてくるのが見えた。
「めーぐみっ!」
「……五条先生。」
「恋ちゃん見なかった?」
「さあ?知りませんけど。」
「土下座して謝り倒してたらブチギレて逃げちゃったんだよ。電話しても出ないしさぁ。」
「あなたの自業自得でしょう。」
「ねえ、どこ行った?」
「だから、知りませんってば!」
「僕に嘘は通じないよ。」
「そんなに慌てて探すぐらいなら浮気しなきゃいいだろ。」
「恵も大人になればわかるよ。恋の事は好きだよ。だけどね、たまーに他のを味見するとますます恋の事好きになれるんだ。」
「そんな事わかりたくないですね。その理屈だと恋も他の男を味見すれば先生のこともっと好きになるんじゃないですか?」
「さては、七海が来たな。」
流石と言うべきか何と言うべきか………
俺がヒントを出し過ぎなだけなのか………
「七海さんはいい人ですよね。」
「僕が悪い人って言ってるように聞こえるね。」
「否定はしません。」
「七海はね、ガキの頃から恋の事が好きなんだよ。未だにね。他の女と付き合ったりもしてるのにだよ?気持ち悪いと思わない?」
「一途なだけでしょう。」
「お前、七海の味方なの?」
「七海さんを人としても術師としても尊敬しているだけです。」
「ふーん。」
五条先生、怒ってる。
このぐらいにしないとヤバいな。