第22章 苦悩する
「ま、それはそうね。そこは謝ってもらわないと。」
同調する恋。
「ごめん。まさか担任が保護者呼ぶなんて。」
「理由は?」
五条先生がサングラスをずらし、綺麗な目で俺を睨む。
「他人と関わる上での最低限のルール、それすら守れていなかったから。」
「ごうかーく!」
五条先生は拍手をしながら言った。
「ハァ?何言ってんの?だからって殴ったら駄目でしょうが!」
「恵、とりあえずチャチャっと謝って帰ろうぜ。帰りにパフェ奢ってやる。」
甘いもの好きの五条先生が言った。
「パフェって、アンタが食べたいだけなんじゃ……」
「わーい!パフェ、パフェ、パフェ!いっちばん高いの頼んでやろーっと!」
はしゃぐ恋。
こっちも甘党だ。
こういうとこ、本当可愛いよな。
恋が食べたいなら俺も食べたい。
その時、五条先生が俺に耳打ちする。
「可愛いだろ?手出すなよ。」
小声でそう言うと、恋と手を繋いで歩き始めた。
どうやって手出したらいいかもわかんねぇってのに、出せるわけねぇだろ。
それから1ヶ月後の事だった。
手出すな、なんて言いやがった五条先生が浮気した。
夕焼けに染まった石段に座り、恋は泣いていた。
何やってんだよ、五条悟。
俺は心底腹が立った。
「恋、大丈夫か?」
「あのバカ男はホステスと浮気してるんだって。一回じゃないのよ?任務で出かけるたびに女呼び出してホテルに連れ込んでたんだって。伊地知に口止め料まで渡してたんだから。」
「何でわかったの?」
「ラブホテルの会員カード見つけたの。それで硝子と一緒に伊地知問い詰めたらあっさり吐いた。」
伊地知さん、硝子さんの事好きだからなぁ。
「五条先生何て?」
「その女とは遊びで割り切った関係だから大丈夫って言ったの!何が大丈夫なんだろ。バカでしょ?」
恋はいつの間にか、俺よりずいぶん小さくなっていた。