第21章 ●焦がれる●
こんな事が一週間も続いている。
この後、同じベッドで寝るんだよ?
しかも恋は寝る時は甘えん坊さんだから引っ付いてくるし。
最早、地獄でしかない。
「ねぇ、恋。もし、温泉行く前に僕が手出したらどうなるの?」
「建人のとこ行く。」
「それはダメ、ゼーったいダメ。」
「じゃあ、エッチな事しないで。」
「キスは?キスもダメ?」
「私からする分にはOK。」
そう言ったかと思うと軽くキスしてきた。
「もっとしたい。」
「私も。」
今度は腕を回して抱きつきながらのキス。
僕も恋をギュッと抱きしめる。
2週間ぶりのキス。
「ごめんね、恋、好きだよ。」
顔を離して聞く。
恋は僕の胸に顔を埋めた。
ヤバい、心臓バクバク。
バレるかも。
初めて女に触れたガキみたいだ。
恥ずかしい………ってアレ?
恋?
僕の胸に顔を埋めている恋。
細い肩が震えてる。
「恋?どうしたの?」
「良かっ……た……さと……るが………戻って。」
「恋。」
「ヒッ………ウッ………」
泣いてる。
「もう、泣くなよ。僕まで悲しくなるじゃん。」
「うん。……でも、良かったよ本当。後1日遅れてたらヤバかった。」
「何が?」
「建人の胸に飛び込むつもりだったから。」
「はい?おま、え、どういう事?」
「前の日に建人に抱きしめられて言われた。自分のとこに来いって。だけど、その時は断ったの。でも、時間おいて考えたらもう悟は他の女に行ったし、建人ならいいかなって思って。だから、もう一晩だけ待って自分から飛び込むつもりだった。」
「何か、凄いジェラシー。」
「もし、私が建人のとこに行ってたらどうした?」
「そん時はもっかい奪う。」
「やなヤツだね。建人可哀想。」
恋はすっかり笑顔になってる。
「良かった。泣き止んだね。僕の方が泣きそうだけどね。」
「泣いちゃう?」
僕の顔を覗き込むようにして見る恋。