第20章 憤る
「僕も恋の手料理食べたいなぁ。で、何作るの?」
「パン。」
「パン?」
「そう。ストレス溜まりまくりだしね。思いっきり打ちつけてやる!」
「私もパン食べたいなぁ。七海もたべたいよねぇ?」
その時、ドアが開いて硝子が入ってきた。
後ろから建人も続く。
「硝子!?建人も!……ごめんね、建人。色々迷惑かけて。」
「いいんです。それより、五条さんは何をしてるんです?」
私の足下にひざまずく悟を見て建人が言った。
「お仕置きされてたんだよ。」
悟が頭を押さえながら言った。
「ちょっと!そんな事してないでしょ!」
「うそ。冗談だよ。」
「どうせ五条さんが土下座でもしていたんでしょう。」
「さっすが建人。正解!」
拍手しながら言った。
すると、硝子が驚きの表情を見せる。
「うそ!?五条に土下座までさせたの?すごいね、恋。」
「う、うん。まあね。ハハ。」
自宅に帰り、パンを作る。
生地をこねてから思いっきり台に打ち付ける。
ドンッ、ドンッ。
ここは防音がしっかりしてるから大丈夫。
ドンッ、ドンッ。
「何かすごいな。」
側で見てた悟が驚いてる。
そういえば悟のいるところでパン作ったことなかったっけ?
「この台が悟だと思ってやってるの。」
「ええ!?ひどいなぁ。」
「どっちが。」
「そうだ、恋って直哉と知り合いだったんだってね。七海から聞いた。」
「うん。小学校が同じだったの。腹立つからよく痛めつけてやってた。」
「そしたら惚れられたの?」
「そうみたい。私、SMの趣味はないけどね。」
「あはは、アイツは相当バカだからね。術式持ってるから次期当主になれたけど、無かったらただのバカだよ。」
ひとしきり打ちつけた後、一次発酵させる。
「後、どのくらいかかるの?」
「まだまだ。後40分くらいでこれが膨らんだらガス抜きしてから成形して、そのあともっかい30分発酵して焼き上げが20分だから後、2時間くらい。」
「そんなに?とりあえずふくらむまでイチャイチャしようよぉ。」