第2章 ●忘れる●
本当は大丈夫じゃなかった。
和くんはまた人妻と逃げた?
私を置いて?
そんな話聞かされて大丈夫なわけない。
「その手を離せ!」
建人が先生を睨む。
「あぁ、すまない。つい、興奮して。」
先生は我に帰ったかのように大人しくなった。
「先生、ごめんなさい。私、何も知りません。」
先生は何も言わずに立ち去った。
「大丈夫ですか?」
建人が心配そうに聞く。
「肩、痛い。ちょっと見て。」
私はそう言うと左肩を少しだけ出した。
「あぁ、これはだいぶ赤くなってますね。冷やした方が良いでしょう。」
迎えの車を頼み、家路に着いた。
帰る途中、和くんに電話してみたが繋がるとこはなかった。
担任の方にもかけたけど繋がらなかった。
「どうですか?」
「うん。だいぶ良くなったよ。ありがと。」
私の部屋で肩を出し、建人に氷嚢を当ててもらった。
「和之進さんは何をやっているんでしょうね。」
建人が持っていた氷嚢をテーブルの上に置き、深いため息をついた。
「そうね。しかも今回の相手は私の担任。前回は母親だった。」
思い出すとまた悲しくなってきた。
すると、背中からふわりと温かい温もりに包まれた。
建人が後ろから抱きしめてくれたのだ。
「恋、あなたが好きです。」
建人から突然の告白。
「建人?どうしちゃったの?」
私は戸惑った。
「昔からあなたが好きでした。だけど、あなたには好きな人がいた。だから、別の人と付き合ったりしました。けれど、やはりあなたがいい。」
そう言うと彼は私の肩にキスをした。
「…建人。」
「だめ…でしょうか?」
上半身をひねり、建人の顔を見た。
ほりが深くて、綺麗な白い肌。
「いいよ、建人。ねぇ、もっとキスして。」
「あなたって人は…わかりました。」
建人は私の頭の後ろに手を当て、唇を私の唇に重ねた。
始まりは優しいキス。
そして段々と深くなる。
舌を絡ませて求め合った。
口の端からヨダレが垂れるほど。
その内、私はゆっくりと押し倒された。
「恋。いいですか?もう、我慢できそうにありません」
建人の余裕の無い顔なんて始めてみた。
「いいよ」
そう言って笑うと、彼は私の首筋に顔を埋めた。
「アァ、ンッ」
首筋から肩にかけて執拗に愛撫されるから卑猥な声が止まらない。