第20章 憤る
「うん。五条は生まれつき白くて、七海もデンマークのクォーターだから肌白いし金髪でしょ?禪院直哉も金髪で色白だって七海が言ってたから。色素の薄い男が寄ってくるフェロモンでも出してんじゃないの?」
硝子はそう言って笑った。
「どうしよう、変なフェロモン出てたら。」
「アハハ、冗談だって。そんなフェロモンある訳ないでしょ。」
「もう、硝子ったら。」
「う…ん、あれ?恋?」
その時、悟が起きた。
「五条、アンタが寝てどうすんの。」
硝子が言った。
「あれ?硝子、起こしてくれよぉ。」
「何でアンタの世話までしなきゃいけないのよ。」
「冷たいなぁ。あっ、恋、大丈夫?」
悟が私の手を握った。
「ご心配なく。」
そう言って手を離した。
「まだ怒ってるの?恋ちゃん。」
「甘えるな、バカ白髪。」
「うわぁ、やっぱ怒ってんじゃん。」
「当たり前でしょ五条、恋がどんだけ泣いたと思ってるの?」
「硝子、やめてよ。」
硝子を止めた。
だけど彼女は止まらない。
「いいのよ。教えてやらなきゃわからないコイツは。」
腕組みをして怒る硝子。
「そんなに泣いちゃったの?恋。」
そんなに優しい言い方しないで。
涙出るから。
「一服してきまーす。」
硝子は気を利かせて部屋を出た。
「どうしたの?泣くなよ。」
泣く私を抱きしめる悟。
「誰のせいで泣いてると思ってるの?」
「僕のせいだよね、ごめんね、恋ちゃん。」
その顔で甘えないで。
キスしたくなるでしょ?
それに見つめないで。
ドキドキするでしょ?
「…………」
何も言えなくなった。
「ねぇ、恋ちゃんって僕のことそんなに好きだったの?」
無言で頷く。
「だったら許して。」
無言で頭を左右に振った。
「どうして?」
「それとこれとは別だから。」
「どう言う意味?」
「悟が好きなことに変わりはないけど、そんな簡単に浮気は許せない。」
「どうしたら許してくれるの?」