第19章 掛かる
次の日はちゃんと高専に行って授業をした。
恋とだって仕事の話は普通にした。
仕事は仕事。プライベートは持ち込まない。
恋もそこは徹底している。
そういう恋が好きだった。
どうしても恋を目で追ってしまう。
硝子みたいに目の下にクマ出来てる。
もしかしてあんまり寝てない?
まさか七海のヤツ、一晩中寝かせないのか?
そんなバカな事を考えていた。
みゆゆは人前だろうと何だろうとお構いなしでベタベタしてくる。
恋はその点、慎みがあった。
どうしても恋と比べてしまう。
昼休み、硝子に呼び出された。
「アンタ、ほんっとうにクズだね。」
タバコをふかしながら僕を蔑む。
「先に浮気したのは恋だろ。」
「アンタは頭が悪いのか?」
呆れ顔の硝子。
「何だよ。」
「恋と七海だよ?そんな事すると思う?恋はともかく、あの七海が人の女に手出したりするかね?」
「七海だって男だ。恋に惚れてたらそういうこともあるんじゃない?」
「だったら尚更ないね。惚れた女に浮気させたりしないよ、七海は。アンタとは違うの。」
「な、何だよ!僕は証拠写真見たんだからな!」
そう言ってその場を去った。
でも、硝子の言ってる事も一理あると思った。
それから一週間、教師の仕事も任務もちゃんとこなしながら、恋の事を気にしつつもみゆゆとの関係を楽しんだ。
一週間後、任務の司令が下り補助監督みゆゆと共に現地へ向かった。
「何だよ、楽勝じゃん。」
あっという間にカタがついた。
「は、早いね。」
「ん?いつもこんなもんじゃない?」
「そ、そっかぁ、さすが悟。」
何となく、みゆゆの様子がおかしかった。