第19章 掛かる
「もしもし恋?どうした?」
「そこどこ?」
「えっ?えっと、ここは、どこだ?さあ?どこだろうな。任務が長引いちゃってさぁ。」
何故か誤魔化した。
さっき肯定したばかりなのに。
「えー、さとるひどぉい。自分ちに連れ込んだくせにぃ。」
みゆゆが僕に擦り寄って猫撫で声を出した。
「ふーん、連れ込んだんだ。」
「あっ、いや、その、これは………恋、お前が悪いんだよ。」
僕は悪くない。
浮気したのはお前だ。
「私?」
「ああ。お前、七海とヤッてるだろ。」
「何言ってんの?」
「とぼけんのか?」
「とぼけてなんかない。自分のこと棚に上げて何言ってんのよ!」
キレる恋。
「ねぇねぇ、さぁとぉるぅ?、ねえってばぁ。」
またみゆゆが話す。
すると、電話が切れた。
「何だよ!いきなり切りやがって!」
苛立ち紛れにスマホをベッドの上に投げた。
「さとるぅ、こわぁい。」
猫のように僕に絡みつくみゆゆ。
「みゆゆ、恋になんか言った?」
「ごめんなさい。みゆゆ、悟を自分のものにしたくて、写真撮って送ったの。」
そう言って自分のスマホを見せるみゆゆ。
僕がみゆゆに愛撫している画像だった。
「きゃあ!」
そんな事をするみゆゆを何故かその時は可愛いと思ってしまい、むしゃぶりついた。
そしてまた抱いてしまった。
結局、その後高専に行く気になれずに2人して休んだ。
ずっとベッドでゴロゴロしている訳にもいかず、夕方恋に会いに高専へ行く事にした。
「さとるぅ、どこ行くのぉ?ねぇねぇ、さとるってばぁ。」
「ごめんね、みゆゆ。少しだけ静かにしてね。」
みゆゆにまとわりつかれているのが恥ずかしいけど、嬉しかった。
今日は、猪野の追試があると恋が言っていた事を思い出して、教室へ向かう。