第19章 掛かる
「わかった。」
心の狭い男だと思われたくなくていつものように、理解のあるフリをする。
そして一週間後。
「悟、今日は建人と食事だから。」
仕事が終わり、着替えた恋が僕のところへやって来た。
最近、お気に入りでよく着ているピンクのワンピースの上にレザーのライダースジャケットを羽織っている。
お洒落してる……
「アイツによろしく言っといて。」
僕が心で思っている事は表には出さない。
あくまでクールな五条悟を演出する。
「わかった。」
そして、恋は出かけて行った。
職員室で1人悶々としていると、みゆゆがやって来た。
「五条さぁん、龍さんすごいお洒落してましたけど、どこに行かれたんですかぁ?」
「あー、昔の男に会いに行った。」
それは本当のことだ。
「えー!?五条さん、それ許したんですかぁ?」
驚くみゆゆ。
「うん。昔の男と言っても、あいつらはガキの頃からの友達だから。」
「心が広いですね、五条さんは。」
「そうかな?」
「そうですよ。あっ、そうだ、五条さん今から2人で飲みに行きませんかぁ?」
恋は七海と出かけてるんだし、僕だっていいよね?
「いいよ、行こうか。」
みゆゆと2人、夜の街に繰り出す。
恋と付き合う前は傑とよく来てたっけ。
「さあ、五条さん、飲んで下さいねっ!」
みゆゆに乗せられてどんどん飲んだ。
つまみはもちろん甘いもの。
「みゆゆぅ、聞いてよぉ、恋ちゃんがさぁ、昔の男とデートしてるんだよぉ。」
段々酔っ払ってきた。
その時、テーブルの上に置いたスマホが震え始めた。
任務の呼び出しだったら嫌だなぁ。
そう思い、画面をみると恋からだった。