第18章 ●嵌める●
「…………………何で?」
「何が?」
「何でアンタに慰められなきゃならないの?」
「そんなこと言わんでええやん。」
「悟と知り合いなの?」
「そりゃあね。同じ御三家の人間やからな。」
「じゃあ、悟から聞いたの?」
「それはちゃうな。僕が調べたんよ。」
「調べたんですか?」
七海くんが口を挟んだ。
「そうや。あんたは七海くんやろ?知ってるで。」
「どうして調べたの?」
「それは、恋ちゃんが今何してはるのかなぁ?って気になったからや。」
「だとしても、何で慰めに来るの?小学校以来、会った事も連絡取った事もないでしょ?」
「実はな、恋ちゃんは初恋の人やねん。でも、中学入ってから会えへんようになってしもて、そん時は諦めたんや。せやけどな、またこの最近恋ちゃんの事が気になって調べてみたんよ。そしたらなんと、悟くんと付き合うてたのに、悟くんが別の女作った言うやない。そんなん聞いたら居ても立っても居られんと来たんよ。」
「それにしてもよくわかったね。悟が女作ったとか。」
「まあ、悟くんは有名やからね。ちょっと調べたらすぐよ。」
「ふぅん。でも私、別に直哉に慰めてもらわなくていいけど。」
「そんな冷たい事言わんでも。俺はあの禪院直哉やで?ちょっとお茶でもしようや。」
「ヤダ。」
「そない言わんと、恋ちゃんの大好きなお菓子屋さん連れてって慰めたるから。」
「だから、アンタに慰めてもらいたくないの。」
「何で?」
「嫌いだから。」
「うそ?」
「本当。子供の頃も嫌いだったけど、多分今も無理。アンタ、ぜんっぜん変わってないもん。」
「好きやから蹴ってたんと違うん?」
「何言ってんの?気持ち悪い。私、アンタみたいに家の自慢して偉そうに威張ってるヤツ、大っ嫌いなの。それに、アンタよく言ってたでしょ?女は黙って男のうしろついて来いって。あれ、最近になってようやく意味がわかったの。」