第18章 ●嵌める●
悟くんがみゆゆと浮気して恋ちゃんを泣かせる。
その後俺登場して傷ついた恋ちゃんを慰めてあげる。
そして、僕 俺たちの愛が芽生えるわけや。
「直哉様、斎藤様から電話です。」
「ほら来た!はいはい、もしもしみゆゆ?」
「直哉様、五条悟落ちました。」
「さっすがみゆゆ!恋ちゃんはどうなった?」
「別れました。」
「よっしゃ!みゆゆ、成功報酬振り込むしもうちょいおってや。」
「わかってます。直哉様が彼女をご自分のものにされるまで、ですよね。」
「そうやそうや。ようわかってるな。全部上手いこといったらボーナス出すから。」
「御意。」
電話を切って小躍りする。
「やったぁ!これで恋ちゃんは俺のモンや。さて、東京乗り込む準備しよ。」
美容院行って、エステ行って、着物新しいの買うて、草履も新しいのにして、下着も新しいのにして。
「完璧や。」
一週間後、意気揚々と東京へやって来た。
みゆゆの話やといま恋ちゃんは高専におるらしい。
タイミングのええことに悟くんは任務でおらんらしい。
とりあえず恋ちゃんを俺のモンにしてから悟くんに会う方がええやろ。
高専の前で恋ちゃんが出てくるのを待つ。
「あれ恋ちゃんか?」
「そのようですね直哉様。」
「あの男は誰や?」
恋ちゃんは男と一緒に出てきた。
金髪でスーツ着てて、背高くて、シュッとしてる男やなぁ。
「あれは七海建人ですね。」
付き人が資料を見て言った。
みゆゆが送ってきた資料や。
「ははぁん、あれが噂の七海くんかぁ。」
恋ちゃんの昔の男で、何やかんや言うては、つきまとっとるらしい。
あの男をダシにしてみゆゆは悟くんと恋ちゃんの仲を裂いた。
あの男もええ働きはした。
でも、もう終いや。
俺が来たんやから。
颯爽と車から降りて恋ちゃんのもとへ行く。
「恋ちゃん!」
「………誰?」
「恋ちゃん、僕や、禪院直哉や!」
「すみません。お名前にも聞き覚えがなくて。」
嘘や。
恋ちゃんが俺を忘れるなんて。