第18章 ●嵌める●
それから何年も経って恋ちゃんの事なんてすっかり忘れてしまっていた。
俺も立派な大人になり、次期当主にまでなった。
そんな俺に手に入らんモンはない。
女なんかよりどりみどりや。
「何かもの足らんなぁ。」
「直哉様、いかがなされましたか?」
「言いなりになる女にも飽きたなぁ。」
「でしたら気の強そうな女探してまいりましょうか?」
「うーん、何やろなぁ。それも違う気がする。」
「何かこう、ゾクゾクするような事ないかなぁ。」
「もっと、腰振ってや!。」
「アァンッ、なおやぁ!」
「どうや?ええか?」
「イイ!アァッ!イク!」
「さっさとイケや。」
何が気の強い女や。
速攻で言いなりになったし。
俺の正体知っとる子はあかんなぁ。
しかもイクの早すぎ。
おもんなぁ。
「どうでした?」
情事が終わり上に乗ってた女を乱暴に跳ね退けて部屋から出ると、付き人が擦り寄ってくる。
「つまらん。アレは見た目がキツいだけの女や。確かにべっぴんさんではあったけどな。すぐに堕ちてもうたわ、つまらん。大体や、あんな派手な女はいらんねん。どっかにおらんかなぁ、絶妙な女は。Sやねんけど優しくて、気は強いねんけどちゃぁんと男を立ててくれるような、見た目は大人しそうで三歩下がってついてくるような古いタイプの女は。」
「そう言えば、昔そういう人がいるってよくおっしゃってましたよね?」
「昔?僕、そんな事言うてた?」
「少し違いますが、直哉様が惚れていらした人がいらっしゃったじゃないですか。龍家の娘ですよ。」
「龍家………そうや!」
その時、雷に打たれた気がした。
「思い出しましたか?」
「うん。ハッキリと思い出した。恋ちゃんや。初恋の人…っていうか、恋ちゃん以外誰の事も好きになってないけどな。せや、恋ちゃん今どこで何してんのやろ?早う、調べて。」
「御意。」