第18章 ●嵌める●
俺はお父さんの跡を継げるよう、修行してる。
兄弟の中では1番優秀やから。
お父さんの跡ついだら恋ちゃんお嫁に貰いたいねんけど、それはあかんらしい。
何でかっていうたら家柄の問題なんやて。
俺の家は代々続く術師の家系で、しかも御三家。
恋ちゃんとこは呪術界では新参もんで元は田舎の庄屋上がり。
ウチのお父さん曰く山猿の集まりなんやて。
お嫁さんに出来ひんのやったら、しゃあない、それはもうお妾さんにするほか道はあらへん。
嫁は適当に大人しそうな女選んどいて、恋ちゃんを外で囲うて僕は毎日その別宅に居てたらええねん。
そうしよ、そうしよ。
「あー、楽しみやわぁ、恋ちゃんお妾さんにすんの。」
「こら、直哉。今は算数の時間だ。」
「あ、すいません。」
あかん、あかん。
心の声が出てもうた。
禪院直哉、小学五年生。
ただいま1つ年上の女の子に絶賛片思い中。
「何やて?」
「だから、やめてって言ってるの!直哉くん、給食はみんなに平等に入れて!何で男子は多くよそって、女子だけ少ないん?」
給食当番で味噌汁をお椀によそってたら、いきなり委員長の女にギャーギャー言われた。
何やねん、この女。
「女の子は静かに座っといたらどないや?」
俺がそうやって言うたら数人の男が笑いよった。
「何それ?男尊女卑なん?」
「女はだまって男の後ろついてきよったらええねん。ギャーギャー喚くなや。男を立てる言うことを知らんのか?」
「何言うてんの?」
「お前みたいな女にこんな話通じんやろなぁ。そんなんやったら一生結婚出来んでぇ。」
そう言うと委員長はビービー泣き始めた。
「泣くんやったらどっか行って泣き。」
「おい、来たぞ!恋先輩だ!」
何やて!?