第18章 ●嵌める●
「俺は禪院直哉や!僕を怒らせたらえらい目見るで。」
「ヒッ、な、直哉くん、許してぇ。」
雑魚が僕を見て怯えてる。
「キミ、俺の悪口言ってたんやってな。」
「ごめんなさい。この通りですから許して。」
土下座する雑魚。
「ちょっとやったって。」
俺が声をかけると、取り巻きの連中が前へ出てくる。
俺のお父さんは呪術界御三家、禪院家の当主や。
この取り巻き連中はウチの家に使えてる奴らの息子たち。
みんな言いなりや。
「こらーっ、なーおーやー!何してんのー!」
チッ、また来よった。
「おいお前ら、どこ行くねんなっ!」
取り巻きが逃げて行く。
「こらっ!直哉!また弱いものいじめしてるの?」
「恋ちゃん。僕、なぁんも悪さしてへんよ。」
「嘘つくなっ!」
そしてまたいつものようにお尻に蹴りが入る。
「あぁ、いだっ、いだぁい!」
お尻を押さえながらその場にうずくまる。
「嘘ついたからそのぶん強めに蹴った。」
嘘ついたかいがあったわ。
「恋ちゃん、堪忍してぇな。」
「じゃあ、二度とするな。」
「もう、に、どと、しましぇん。」
「いい子。」
「恋ちゃん。今日も可愛いお洋服着てはるね。」
「……アンタ、バカなの?」
はい!!
俺バカです。
服のこと褒めたらちょっとだけ照れてはったわ。
もうっ!
可愛いんやからぁ。
「じゃあね。悪さするんじゃないわよ。」
「うんっ。さようなら。」
多分また近いうちに悪さしてまう。
だって、恋ちゃんに怒られたいから。
「直哉さまー!」
「ぼっちゃまー!」
恋ちゃんがおらんようなってから取り巻きがのこのこ戻ってきよった。
「お前らアホちゃうか?何逃げてんねん。」
まぁ、そのお陰で恋ちゃんと二人きりになれたんやけど。