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流れる 〜呪術廻戦 五条悟※R18〜

第2章 ●忘れる●


その日は母の何回目かの命日だった。
私は和くんといつもの様にお墓参りに行った。

「藍ちゃん、恋は呪術高専2年に進級したんだよ。」

お墓に手を合わせながら和くんが近況報告をする。
私は何も言わない。

帰宅してから和くんはお酒を飲み始めた。
毎年、恒例だ。
和くんは母の命日には必ず1人で部屋に籠り、お酒を飲む。

「和くん、おつまみどうぞ。」

私はおつまみを作り、持って行った。

「あー、藍ちゃん、ありがとう。」

和くんはもう既に酔っているみたいだ。
私を母と間違えている。

「和くん、私は藍じゃないよ?恋だよ。」

「…そっか。ごめん。藍ちゃんによく似てるから。」

「嘘だよ。ぜんっぜん似てないじゃん。私、母さまに似てるだなんて言われたくないっ!」

「似てるよ。そんな風に気の強いところなんかそっくりだよ。」

和くんはそう言うとグラスを持ってお酒を喉に流し込んだ。

「ねぇ、和くん?母さまの事今でも好きなの?」

私は意を決して聞いた。
今まで怖くて聞けなかった事を。

「まぁ、そうだな。」

和くんは静かに言った。

「ねぇ、私じゃだめ?私じゃ藍ちゃんの代わりになれない?」

声が上擦ったけど最後まで言えた。

「ガキが何言ってんだよ。」

「ガキじゃないわよ!来月で17になるのよ。」

「そっか…もうそんなになったのか…来いよ。もうガキじゃないんだろ?」

和くんはそう言うとグラスをテーブルに置き、私を見つめた。
私は椅子に座っている彼にゆっくりと近付いた。
目の前まで行くと、抱き寄せられてキスされた。
タバコの香りがした。

触れるだけのキス。
でも、私の腰は彼の腕でしっかりとホールドされている。

ゆっくりと顔を離される。
彼の瞳は潤んでいた。


きっと彼の瞳には母が映っているのだろう。


そう思うと悲しくなったけど、私が望んだ事だから。


母の代わりでもいいって。

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