第15章 ●落ちる●
明日に向けての準備は着々と進んでいた。
裏から手を回して明日と明後日の2日間、2人とも任務が入らないようにした。
明日恋が任務から戻ったらリムジンで出かける予定。
ま、五条悟に出来ないことはない。
本当に俺はどこまでもオメデタイ男だ。
次の日、俺は地獄に突き落とされる事になる。
夜蛾から傑の凶行を知らされた。
「は?」
「何度も言わせるな。傑が集落の人間を皆殺しにし行方をくらませた。実家ももぬけのからでおそらく両親も手にかけてる。」
「んなわけねぇだろ!」
声を荒げる。
「悟、俺にも何が何だか…」
夜蛾も頭を抱えていた。
嘘だろ?
傑が?
何があった?
数時間後、硝子から連絡が入る。
「夏油、新宿にいたよ。術師だけの世界を作るんだってさ。」
は?
術師だけの世界?
何だよ、それ。
急いで新宿に向かった。
「説明しろ、傑。」
六眼で睨みつける。
「硝子から聞いただろ?それ以下でも以上でもないさ。」
傑が言った。
「だから術師意外殺すってか!?親も!?」
「親だけ特別というわけにはいかないだろ。それにもう私の家族はあの人達だけじゃない。」
「んなこと聞いてねえ。意味ない殺しはしねぇんじゃなかったのか!?」
「意味はある、意義もね。大儀ですらある。」
「ねぇよ。非術師殺して術師だけの世界を作る!?無理に決まってんだろ。できもしねぇことをセコセコやんのを意味ねぇっつーんだよ!」
声を荒げる俺。
「傲慢だな。君にならできるだろ、悟。自分にできることを他人には『できやしない』と言い聞かせるのか?君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?もし私が君になれるのなら、この馬鹿げた理想も地に足が着くと思わないか?生き方は決めた。後は自分にできることを精一杯やるさ。」
そう言うと、踵を返した傑。
腕を上げ、傑に狙いを定める。
「殺したければ殺せ。それには意味がある。」
こちらに振り返り静かに言った。
その時、俺の携帯が鳴った。