第14章 ●逃げる●
とにかく体中が痛かった。
はやく退いて欲しかった。
「あぁ。いきそうだよ。、恋、いくよ、いく。」
やっと終わった。
そこで私はまた気絶させられた。
今度はお腹にパンチされた。
「恋、起きろ!」
あれからどれくらいの時間が経ったんだろう?
「恋!」
あっ、悟の声だ。
「さ、とる?」
悟の声で目を覚ます。
「あぁ、俺だよ!恋、よく頑張ったな。今お前、さっき歌姫とヘリで高専に着いたんだよ。今から硝子に治療してもらおうな。」
あぁ、そうだ。
私、夏油にボコられて、犯されたんだった。
悟が頭を撫でてくれた。
嬉しかった。
「ありがと。あーっ、いったーい。」
「痛いってどこが?」
「最初、夏油はあんまり本気じゃなくって、私が腕折ったから、それでね、怒らせちゃって。仕返しだってあばら折られちゃった。」
エヘヘって笑っちゃった。
「そこ、笑うとこじゃないだろ。」
優しく怒られた。
「五条、準備できた。」
白衣姿の硝子が来た。
「さとる?ごめん…今日、だったのに…私こんなで、ごめん。」
「謝るな!お前は何も悪くない。」
悟の長い指が私の涙を拭った。
泣いてばっかりだな、私。
それから硝子と2人きりになり、治療を受けた。