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流れる 〜呪術廻戦 五条悟※R18〜

第2章 ●忘れる●


「ごめんなさい。おじさん、おばさん。」

私は居たたまれなくなって頭を下げた。

「恋ちゃん。あなたが謝る事はないのよ。」

「そうだよ、恋。悪いのは藍と和のほうなんだからな。それにおじさんは君のお父さんに謝らなければならない。」



この後、おじさんは父の所へ謝りに行ったそうだ。
でも、父は逆に頭を下げたらしい。

「お宅の大事な跡取りをウチのがたぶらかして本当に申し訳ない。娘もずっとお宅に預けたままで。」

父は平謝りだったそう。
父がそんな風に思っていたとは意外だった。
法事などで顔を合わせても元気か?としか言わない人だったから。



「和之進さんの事聞いたよ。大丈夫?恋。」

建人が母と和くんの事を知って会いに来てくれた。
彼の父親と和臣おじさんは古い知り合いらしく、彼は幼い頃からよくこの家に遊びに来ていた。
そして、私たちは親友と呼べるくらいに仲良くなっていたのだ。

「建人…私、あの女は絶対許さないから。」

和くんを好きな事は建人も知っていた。 

「あの女って君のお母さんでしょう?」

建人が不思議そうに聞いた。

「母親だなんて一度も思った事ない。嫌な女よ…信じらんない、和くん…なん、であんな女と…ック…ウゥッ…」

「大丈夫、僕がいるから。」

建人は私の手を握って慰めてくれた。
その優しさに甘えて大声で泣き喚いた。



それから1年ほど過ぎた頃、思わぬ事が起こった。

母が重い病気を患い、入院しているという知らせが入ったのだ。 
その知らせはもちろん和くんからだった。


おじさん達と病院に向かった。
母がいる病室の前の廊下に和くんが一人佇んでいた。

「和之進、お前というやつは一体何を考えているんだ。」

和くんを見るなり、おじさんが怒鳴った。

「あなた、ここは病院ですから。」

おばさんが必死に宥める。
私はただ、その場に立ち尽くしていた。

「恋、早く藍ちゃんに会ってあげて。君を呼んでるんだ。」

和くんが私に向かって言う。
よくよく見ると、少しやつれたような顔をしていた。

「私…別にあの女と話す事なんてない。」

「恋、そんな事言うなよ。」

和くんが悲しそうな顔で私を見る。


そんな顔しないでよ。


そんな目で見つめないで。


心が張り裂けそうな思いがした。
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