第14章 ●逃げる●
ああ、この男がたまらなく好き。
胸が張り裂けそう。
自分の腕を男の背中に回す。
そしたら、ギュッてされた。
この男の事を想ってる。
毎日、毎日。
「ずっと…悟が好き。自分を誤魔化してきたけど、本当は初めて会った時から好きだった。他に女がいても…好き…なの。」
言ってしまった。
「盛大な告白ありがとう。大好きだよ、恋。」
背中に回した手で服をギュッと掴む。
涙が止まらないから。
「照れてる?かぁわいい。」
「違う!バカ男。」
「でも好きなんでしょ?」
「……うん。バカな悟が好き。」
「俺は照れちゃう可愛い恋が好き。」
私を抱きしめる腕の力が緩められた。
だけど、私は背中に回した手に更に力を込める。
キス…されると思ったから。
「もう少しこのままでいて。」
「わかったよ。」
お願いしたらまた優しく抱きしめてくれた。
後頭部に手を当て、自分の胸に引き寄せて。
どのくらいその温もりに浸っていただろう?
しばらくしてから聞かれた。
「どうした?寂しかったの?」
それは当たってた。
寂しかった。
ずっと。
でも、それだけじゃない。
「後、3ヶ月。正確には2ヶ月半。」
「それが何?」
「エッチな事はしない。」
「はい?今、何て言ったの?」
「キスもダメ。」
「いやいや、何言ってんの?」
「本当はこういうのもダメだけど……我慢できなくって。」
そこで体を少し離した。
見上げると、焦った表情の悟の顔が見えた。
可愛い。
「何笑ってんの?」
「悟が可愛いから。」
「ねぇ、からかってんの?」
「ううん。本当の事。」
「それより、何でおあずけなの?」
「私をいじめたバツ。」
「そんなぁ。」
「最後にしてから後2ヶ月半で半年でしょ?まさか、また他でヤッてたりしてないでしょうね?」
「ヤッてない、誓ってヤッてないから。恋ちゃん一筋だよ。信じて。お願い。」
焦ってる悟が可愛くってたまらなかった。
「フフッ。今度はきっちり禁欲してもらいまーす。」