第14章 ●逃げる●
無事に任務も終わり、帰りの車の中。
不意に悟の手が私の手に触れた。
そしたら、手を握られた。
恥ずかしくて窓の外を見てた。
高専に戻ったけど、手を離したくなくて向こうから離すのを待ってた。
だけどなかなか離してくれなくて、思わず話しかけてしまった。
「3ヶ月だよ。」
「3ヶ月?」
「私、また禁欲してる。」
「俺も。」
「本当?」
「うん。お前は?傑とは何もないの?」
コイツ、本当にバカなの?
「ハァ?何言ってるの?」
怒りを込めて悟を見た。
「だってお前ら仲いいじゃん。」
「五条のバカ!大っ嫌い。」
腹が立ってどうしようもなく、ほっぺたを膨らませた。
「なに可愛いことやってんだよ。」
悟がにやけながら言った。
「ンッン、ンンンン。」
だって、アンタが。
「何?何が言いたいの?」
段々近づいてくる悟。
「ンンーン、ンンッ。」
五条のバカっ。
悟が近づいてくるに連れてドキドキが激しくなる。
「苦しいんならさっさと息吐けよ。」
そして、悟の唇が私の唇に触れそうになった。
その時、
コンコン
誰かが窓を叩いた。
瞬間的に顔を逸らせる。
悟も体を退いた。
「プハァー、ハァッ、ハァッ。」
たまらず息を吐く。
外には傑がいた。
「先生が報告を待っているよ。」
その言葉を聞いてサッサと車から降りて走った。
後ろから悟が追いかけてくる。
止まってなんかあげない。
もう一度、私を捕まえて。
それから、悟と普通に話すようになった。
まだ、五条って呼んでるけど。