第14章 ●逃げる●
「もー、夏油は何考えてるんだか。」
夏油がいなくなった後、硝子が言った。
「夏油がどうかした?」
「気づいてないの?夏油は恋狙いでしょ。」
「うそ?全然気づかなかった。」
どうりで最近優しいはずだ。
「今日だってマッサージとか言って本当は何をする気だったのか。怪しいから私もついてきたんだけど。」
「そうなんだ。そう言えば夏油って沖縄の時に……」
沖縄で夏油から手を繋がれた事を話した。
「何だろね。アイツ、いまいち何考えてるかわかんないから。五条と同じでクズに変わりはないけどね。」
「ただいま。」
夏油が帰ってきた。
「恋、少し誤解があったようだよ。どうやら先輩が勝手に動いていたらしい。」
「それでも、悟が他の女と付き合ってたことにかわりはないんでしょ?」
「まあ、それはそうだが。」
「だったらどうにもならないよ。あー、アイツの顔見たら甘いもの食べたくなっちゃったぁ。」
「ゲッ、また何か作る気?」
硝子が嫌そうな顔をした。
「アップルパイつくろーっと。」
「私は是非食べいな。」
夏油が微笑んだ。
さっき硝子から聞いた話を思い出し、顔が熱くなる。
「そ、そろそろ帰るね。マッサージありがと夏油。」
「じゃあねー、夏油。」
「2人ともおやすみ。」
「何?夏油のこと意識しちゃった?」
部屋に帰っていると硝子が言った。
「そういうんじゃないよ。」
「そっかぁ。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」
部屋に帰ってしばらくして、悟がやって来た。