第14章 ●逃げる●
悟を怒らせてから一週間、彼は帰ってこなかった。
ストレスでどうにかなりそうだった。
そんな時、私が必ずする事がある。
それは、お菓子作りだ。
とにかく作って作って作りまくった。
みんなにも配ったし、自分でも食べまくった。
クッキー、プリン、パンに、おはぎまで色々作った。
毎日やってたら、肩と腕、背中と腰が凝ってしまった。
「もう、身体中バッキバキ。」
「毎日作りすぎ。さすがにみんなも飽きたんじゃない?」
甘いものにあまり興味のない硝子に言われた。
「私は全然飽きないけどな。恋、今夜ウチにおいで。マッサージしてあげるから。」
夏油がおはぎを食べながら言った。
「私も言っていーい?」
何故かそこで硝子が声を上げた。
「いいよ。硝子もおいで。」
「じゃあ恋、一緒に行こ。」
「うん。わかった。じゃあ、晩御飯は何か作るね。」
そして夜、夏油の部屋へ行った。
晩御飯は簡単にチャーハンと卵スープにした。
「あー美味しかったぁ。」
「うん。美味かったね。」
「本当?よかった。」
「硝子、お皿運んで。私が洗うから。恋は休んでて構わないよ。」
「ありがと。夏油。」
あれ以来、夏油は優しい。
何かと私を気遣ってくれてる。
片付けが終わってからマッサージをしてもらう。
「うつ伏せに寝てごらん。」
「はーい。」
うつ伏せになると夏油は私の背中を押し始めた。
しばらくすると、悟が訪ねてきた。
部屋を覗いた悟と目が合う。
あの時の事を思い出して怖くなった。
そして、夏油は悟と何処かへ行った。