第13章 ●ハマる(五条の場合)●
一週間後の夜、さすがにマズイと思い高専に戻った。
寮に入って傑の部屋の前を通りかかると、声が聴こえた。
「アァッ、そこぉ。」
恋?
「アァッソコはヤバい。」
「ここかい?ここだよね。」
傑?
オイ、何やってんだ?
まさか………
「イタッ!夏油、ソコいたぁい。」
痛いだとぉ?
傑、何やってんだよ。
我慢できず、部屋のドアをノックして傑を呼んだ。
「傑!いるか?」
俺が呼ぶと声が止んだ。
ガチャ
「悟?帰ってきたのかい。」
「お前一体な、に……硝子?」
部屋の奥に硝子と恋の姿があった。
「恋が疲れてる様子だったからマッサージしてあげていたんだよ。」
「マッサージ?」
「ああ、そうだよ。」
奥から俺を見る恋。
今にも泣き出しそうな顔。
「悟、少し話そうか。」
傑はそう言うと外に出てきた。
歩きながら傑と話す。
「3ヶ月前から先輩と付き合ってるって本当?」
「な、何言ってんだ?」
「先輩が恋に言ったらしいよ。3ヶ月前から付き合ってるってね。」
「マ、マジか。」
「だから恋は身を引いたんだよ。」
「そうだったんだ。」
「それなのに君から怒鳴られて、怯えていたらしいじゃないか。君はそんな事もわからなかったのかい?」
俺はバカだ。
本当にバカだ。
その後、また先輩の所へ行った。
「先輩、どういうこと?恋になんであんな事言ったの?」
「だって悟を取られたくなかったんだもぉん。」
ブラウス一枚のエロい格好。
こんな事がなければむしゃぶりついているところだ。
「アンタのせいで恋は……恋は。」
「私、嘘は言ってないわよ。あなたでしょ?嘘を言ったのは。好きなんでしょ?あの子が。」
「ごめん。俺、アイツが好きだ。ずっと好きだった。それなのに俺、先輩と……ごめん、俺もう先輩とは会えない……。」
「あの子のところに行くの?」
「わからない。受け入れてもらえるか。だけどアイツが好きだから、これからはあいつの側にいる。ごめんね、先輩。」
「いいのよ。私、実はもうすぐ実家に帰るの。」
先輩が笑顔で言った。