第12章 ●ハマる●
「硝子、おはよう。」
「おはよう。ほら、目薬あげる。それ新品だから。」
硝子の部屋へ行くと、彼女が目薬をくれた。
「やっぱわかる?」
「うん。充血してる。」
もらった目薬をさした。
「悟との事は聞いたよ。大変だったね。」
3人で夏油が持ってきてくれたおにぎりを食べながら話した。
「うん。結局、悟は何がしたかったんだろ?」
「どうせ、禁欲中に我慢できなくて先輩と寝て、そのままずるずる付き合ってるんでしょ。そしたら、恋の禁欲が明けて告ったら上手くいっちゃって。先輩とはどうしよう?ってグズグズしてたら先輩が恋のところに乗り込んじゃって。恋に何とも思ってないって言われたらキレて。アレは完全に逆ギレだね。」
硝子が言った。
「そうだね。そうだよ。逆ギレだ。キレたいのはこっちなのに。」
硝子が話をまとめてくれたおかげで、自分の気持ちもまとまった。
「いつもの恋に戻ったようだね。」
「悟が悪いのよ…こんなに好きにさせられて…本当、責任とってもらいたいぐらい。」
「あのクズは恋が半年間禁欲してる間もしょっちゅう会いに行ってちょっかい出してたんでしょ?惚れるわけだ。」
硝子がそう言うと、夏油も続いた。
「可哀想に。」
夏油が私の頭を撫でた。
そう言えば悟もこうしてくれたっけ。
悲しくなって何も言えなかった。